TOP > 展覧会情報 > 第53回日本現代工芸展 授賞作品・授賞理由
ビロード地を使い蝋染による技術効果を巧みに表出した円熟の作である。長年遺跡をテーマにシュールな表現を試みてきたが、今回の作品は自家製の気球に乗り宙に浮かんでみたいという夢をイーメジした魂心の作。
九谷焼の絵付けを新しく蘇生させたモダーンな表現には、目を見張るものがある。碧色の方形のボディの上部、左右に顔を出す月弧の形、ボディに刻された地平線を騎馬に乗る西域の人が渡り行く。立体に施された絵画的情景表現は見事である。
博多人形の伝統を超越した夢のある意欲作。宇宙が晴れわたるという量子学理論から生まれた言葉をテーマにしたもので、胡粉仕上げのレリーフ状の艶やかな人姿に金属線が象徴的に絡まり快い詩情を漂わせている。
題名となっている「Squeeze」とは、「絞る、押し込む」という意味をもっているが、まさに鍛金技法である変形絞りとヘラ絞りを駆使しながら技術的に高度な表現効果を創り出したユニークな作品である。