TOP > 展覧会情報 > 第57回日本現代工芸展 授賞作品・授賞理由
漆黒の世界に浮かびあがる金色の森を背景に力強いノミあとが残る木彫レリーフの樹影の群像は、太古から自然に宿るエネルギーをいま静かに放ち始める。絡み合う樹々は力強く、神秘的な生命の存在を感じさせるものとなって、見るもを圧倒する。
作者は、長い歴史を持つ楽焼の窯元に生まれ、伝統的な工芸の世界に身を置きながら、現代美術にも果敢に挑戦を続けている。本作も古くからの楽焼の技法を守りながら、世界五大陸の土を使い、窯の中での窯変をも計算し尽くした秀作である。
石川県輪島で沈金を学び新しいテーマに取り組んだ本作は、空間構成が魅力的である。
女神の姿をあえて抑えながら飛翔する動きを強調する画面は見る人に様々な思いを拡げる優作である。
炎の洗礼を受ける焼物としては、不可能とも思われる造形に挑戦した。
生命(いのち)あるものは永遠に魂の進化を続けている。その進化する生命の歓喜を表現し、今迄の形態からさらに飛躍をとげた作品である。